受精卵着床前検査(PGT-A、PGT-SR)について
受精卵着床前検査(PGT-A)
PGT-A(Preimplantation generic testing for aneuploidy)とは、体外受精によって得られた胚の染色体を移植する前に事前に調べる検査のことをいいます。
受精卵着床前検査(PGT-A)は保険の適用がされません。本検査を希望される場合は、採卵から全ての診療を自費で行う必要があります。
受精卵着床前検査(PGT-A)の方法
体外受精を行い、胚盤胞まで成長した段階で栄養外胚葉の一部を生検し数カ所の細胞を採取します。採取した細胞を検査機関へ提出し染色体数を検査します。詳しくは「体外受精について:受精卵着床前検査(PGT-A)」をご確認ください。
検査について
- ・胚盤胞の状態が望ましくない(栄養外胚葉の細胞が乏しい場合など)場合、採取する細胞が少なく検査できません。また、採取した細胞の状態によって検査できないことや、検査結果が出ないことがあります。その場合でも費用が必要です。
検査ができなかった胚盤胞が、異常であるということではありません。移植することは可能です。また、検査ができない胚盤胞について、凍結保存を希望しない(廃棄)場合は事前にお申し出ください。 - ・性染色体(性別)については、染色体に数的異常があった場合を除きお伝えできません。
- ・検査結果で異常があった胚盤胞も患者さまが希望される場合は、移植および凍結保存や保存延長は可能です。(保存期限を過ぎても更新手続きがされない場合には、破棄させていただきます。)
- ・検査結果が正常であっても、妊娠や流産の回避を100%保証するものではありません。一般の妊娠と同様に、異常がなくても原因不明の流産が起こる可能性があります。
- ・本検査は胚の栄養外胚葉(胎盤になる細胞)を採取し検査をするため、内細胞塊(将来胎児になる細胞)を100%検査することはできません。精度は99.4%と報告されています。
- ・当検査を希望される場合は、採卵前に医師への申し込みが必要です。申込書の提出をお願いしています。
メリット
- ・正常胚を移植できた場合は、妊娠率が高くなります。
- ・正常胚を移植できた場合は、流産率が低くなります。
デメリット
- ・正常胚がなかなか得られず移植まで時間を要する場合があります。
- ・実施できる方が現在は限定されています。
- ・モザイク胚という、結果の判断が難しい場合があります。
PGT-A実施条件
実施には日本産婦人科学会の提示する条件があります。
- ・胚移植を行い、2回以上不成功の既往がある場合
- ・2回以上の流死産(生化学妊娠を除く)の既往がある場合
当院は、<⽇本産婦⼈科学会、着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)>認定施設です。
検査が実施できるかなどご相談は外来またはinfo@sugiyama.or.jpまでお問い合わせください。
PGT-Aに対する理解を深めていただくために
PGT-A・SRを検討している全ての患者さまは、下記ページの説明動画(2種類)のご視聴をお願いいたします。
着床前診断(PGT-SR)
- ※検査⽅法は上記のPGT-Aと同じになります。
Preimplatiton Genetic Testing for Structural Rearrangemen:PGT-SR
主に習慣流産の⽅が対象で、特定の染⾊体間で起こる染⾊体の構造異常を検査し、胚移植後の流産の予防に努めます。