子宮内膜検査
子宮内膜検査とは、子宮内膜から組織を一部採取し、正常な子宮内膜であるかを判断するための重要な検査です。妊娠にとって良好な受精卵だけではなく、妊娠に適した子宮内環境が重要です。検査では、良性腫瘍(子宮内膜増殖症)や子宮体がんなどをも見つけることができます。慢性⼦宮内膜炎などで⼦宮内膜検査が必な⽅は、以下の手順にしたがって外来予約をお取りください。
⼦宮内膜組織検査(慢性子宮内膜炎の検査)
慢性⼦宮内膜炎を診断する場合、⼦宮内膜組織を採取し、顕微鏡で形質細胞という細胞を確認することで⾏います。通常、排卵後の⽉経⾼温期(⻩体期)に⾏います。検査を⾏う⽉経周期は必ず避妊をして来院してください。また抗菌薬で加療を⾏いその効果判定を⾏う場合には、抗菌薬内服終了後1週間以上経過経過してから検査を⾏ってください。
⼦宮内細菌培養検査
⼦宮内感染の原因菌を見つけることを⽬的に⾏います。これにより原因菌と共に効果のある抗菌薬を⾒つけることができる場合があります。細菌量が多い時にのみ検出されます。通常、⼦宮内膜組織検査と同時に⾏います。
⼦宮内膜フローラ検査(マイクロバイオーム検査)
⼦宮内にはたくさんの細菌叢(さいきんそう:特定の環境で生育する細菌の集合)が存在し、良性な乳酸菌(ラクトバチルス菌)が多いと妊娠率が⾼いことがわかっています。子宮内細菌培養検査よりも非常に詳細に細菌叢を調べることができますが、細菌量をみることはできず、慢性子宮内膜炎の診断はできません。なかなか慢性子宮内膜炎が治らない場合にこの検査をおすすめしています。⼦宮内膜組織検査同様に排卵後の⽉経⾼温期(⻩体期)に⾏います。必ず避妊をして来院してください。また抗菌薬で加療を⾏いその効果判定を⾏う場合には、抗菌薬内服終了後、1週間以上経過してから検査を⾏ってください。検査結果は約4週間後となります。
子宮内膜着床能(ERA)検査
体外受精において、良好胚移植を複数回⾏っても妊娠しない、反復着床不成功例に対して⾏う検査です。妊娠において⼦宮内膜が受精卵を受け⼊れる時期が決まっています。この受精卵を受け入れる時期を「着床ウィンドウ(Implantation Window)」といいます。つまり子宮内膜に受精卵が着床できる時間や時期には個人差があるため、適切なタイミングで胚移植を行うことで妊娠が可能になると考えられています。この検査では、胚盤胞移植を想定して準備を行い、子宮内膜組織を採取し遺伝⼦レベルを調べることで最適な「着床ウィンドウ」のタイミングを見つけます。ERA検査を受けた方の30%近くが「着床ウィンドウ」のタイミングがずれていたという結果がわかってきました。当院では必ず子宮内膜組織検査(慢性子宮内膜炎の検査)で慢性子宮内膜炎がないことを確認してからERA検査を行っております。
注意事項
- ⼦宮体がん検診と同様の⽅法で、⼦宮内膜を採取します。通常は3分程度で痛みも軽度ですが、⼦宮⼝が硬い場合など、器具挿⼊が困難な場合には痛みを伴います。またまれに痛みが強く、通常の外来での検査ができない場合もあります。
- ⼦宮内膜検体の採取が難しく、検体量が不⾜するなどして再検査が必要となる場合があります。再検査が必要な場合、⼦宮内膜検査料などは通常無料ですが、薬剤処⽅のみ費⽤が必要となります。
- 検査当⽇はシャワーのみ可能ですが、⼊浴や性交渉もお控えください。