無痛分娩について
当院では、通常のお産はもちろんのこと、和痛分娩、無痛分娩(麻酔分娩)いずれの方法を選んでいただいても、安全な出産ができるよう万全の準備を整えています。
合併症がなく分娩が正常に経過している時には、多くの場合自然分娩が可能であり、その範囲内では陣痛が赤ちゃんに悪影響を及ぼすことはありません。しかし、分娩中に不安や恐怖感、あるいは強い陣痛によるストレスが母体にかかると、お産はスムーズではなくなり、赤ちゃんにも悪影響を及ぼすこともあります。従って、分娩中の陣痛を適切な方法で和らげることは、安全に出産をする一つの方法とも考えられます。また、妊娠中に血圧が上がったり蛋白尿が出たりした場合には、医学的な適応で積極的に無痛分娩を行う必要があります。
なお、無痛分娩の担当医をご自身でお選びいただき、30週までに無痛分娩申込書を担当医にご提出ください。初診およびそれまでの健診は他の医師で構いません。
- ※医師の判断により計画無痛分娩ではなく、自然の陣痛を待ってからの無痛分娩となる場合もあります。妊婦さまからご希望していただくことも可能ですのでご相談ください。
- ※計画日前に陣痛が発来した場合にも対応いたしますのでご安心ください。
当院における無痛分娩の割合
分娩のスタイルにも掲載しております通り、当院では無痛分娩の割合が他の先進国に並ぶ割合となっております。まずは、無痛分娩におけるメリット、デメリットを理解していただくことが大切です。
【分娩実績2023年(2021/1/1から2023/12/31)3年間】(全分娩取扱数2943件)
- ・無痛分娩件数:2114件
- ・非無痛経腟分娩件数:500件
- ・帝王切開分娩件数:329件
無痛分娩の方法
硬膜外麻酔とは、背骨の中にある硬膜外腔という部分に麻酔薬を注入する方法です。細い管の先端を硬膜外腔に留置して、この管を通して麻酔薬を注入することにより比較的長時間にわたって無痛効果を得られます。
無痛分娩といっても全ての感覚がなくなってしまうわけではなく、多くの場合、ある程度触っている感覚や圧迫感は残ります。
メリットは?
理想的な無痛分娩は、通常のお産に比べて胎児への負担が少なくなります。これは(1)陣痛、分娩への過剰な不安や強い痛みは、母体の血管を収縮させ、子宮や胎盤に流れる血液量を低下させるので、胎児に供給される酸素量を減少させる可能性があります。無痛分娩ではこの悪影響を解除できるので、胎児の負担も軽減します。
(2)麻酔によって骨盤の筋肉や膣の出口が柔軟になるため、産道が硬くて難産となっている方はお産が進みやすくなります。また、痛みが少ないために血圧の上昇が少なくてすみます。
デメリットは?
その多くは手術の麻酔と同じ副作用で、終わった後に頭痛があったり、麻酔中に血圧が低下しすぎて気分が悪くなったりすることです。また、麻酔薬の影響で陣痛が弱くなることでお産が進みにくくなるため、陣痛促進剤の使用が必要になることが多くなります。硬膜外麻酔は管理分娩ですので、計画入院日より前の夜間や休日に陣痛が始まった場合、対応ができないこともあります。
無痛分娩講習会の動画について
コロナウイルスの影響により無痛分娩講習会を中止させていただいております。「無痛分娩講習会」動画をご覧ください。
無痛分娩のための麻酔科外来
当院では分娩、手術の安全性向上のため、麻酔科専門医による麻酔科外来を行っております。
無痛分娩を検討されている場合、帝王切開を予定されている場合は入院までに必ず受診いただきます。予約制ではなく妊婦健診で来院されている待ち時間を利用して受診いただけるようスタッフが調整させていただきます。またご主人さままたはパートナーの同席も可能です。不安に思われること、わからないことなどは直接専門医にお尋ねください。詳しく説明させていただきます。
診察日
月〜金、土(月2回)
所要時間
15分程度
無痛分娩のお申し込み方法
無痛分娩には分娩予約が必要です。分娩予約金をお支払いいただいた方から随時、無痛分娩のお申し込みが可能となります。安全のため、同時期のお申し込みが多い場合はお受けできないことがあります。
無痛分娩をご希望の方は、あらかじめ上記の無痛分娩講習会に出席していただく必要があります。無痛分娩講習会にご参加後、硬膜外無痛分娩の費用、リスク等について十分にご納得いただき、お申し込み書類(無痛分娩/誘発分娩の同意書と麻酔問診票)にご署名ください。
ご署名済み書類をお持ちいただき、妊娠30週までに無痛分娩担当医師にお申し込みください。なお、申込用紙を提出していただいた医師が分娩を担当させていただきます。
- ※無痛分娩お申し込み以外の妊婦健診は、妊娠35週まで医師指定なしでもご受診いただけます。なお、36週以降の妊婦健診は、分娩担当医師の予約をお願いいたします。
準備のための前泊入院
無痛分娩を安全に行うため、あらかじめご入院いただき、前処置をしてから分娩に臨むため、計画出産となります。通常、初産婦で分娩予定日の1週間前を、経産婦で2週間前を目安に入院となります。入院日の詳細は医師とご相談ください。入院後に、まずミニメトロという水風船のようなものを使って子宮の出口を柔らかくして広げる処置を行います。十分に子宮の出口が広がったことを確認してから陣痛促進剤を使用して陣痛をつけます。規則的に陣痛がはじまったことを確認してから硬膜外麻酔を行います。従って無痛分娩といっても完全に無痛ではありません。
和痛分娩
和痛分娩とは、鎮痛剤の注射です。筋肉注射となります。和痛分娩は予約がなくても随時希望により行わせていただいております。硬膜外麻酔のように完全に痛みはとれませんが、注射でもかなり痛みは退き、楽なお産ができます。
副作用:眠気、浮遊感、めまい等
費用:無料