帝王切開とは
帝王切開は、母体の腹部と子宮を切開して胎児を外科的に取り出す方法です。帝王切開を行うのはこの方法が、母体、胎児、あるいはその両方にとって経腟分娩よりも安全だと考えられる場合です。
ごく稀に、手術後に下肢や骨盤部の静脈でできた血栓(血液のかたまり)が肺に移動して肺動脈を詰まらせる肺血栓塞栓症を起こすリスクがありますが、手術後、早期離床することによってこのリスクを下げることができます。
帝王切開の切開方法
帝王切開では、お腹の中央を、縦に皮膚切開する方法と下腹部を横に切開する方法があります。
手術後の美容的な意味では横に切開したほうが傷は目立ちにくくなりますので、原則では横切開で行います。ただし、緊急時には医学的な理由から縦切開を行うことがあります。また、将来子宮や卵巣、または消化器系の疾患で手術が必要になった場合には縦に切開するため傷跡がT字になってしまうというデメリットもあります。
当院での帝王切開の絶対的な適応
当院では、以下の条件に該当される場合は、あらかじめ手術日を決めて帝王切開により出産していただきます。
- ・骨盤位(逆子)、横位(横向き)など、胎位に異常がある場合
- ・過去に帝王切開で分娩された場合(既往帝王切開)
- ・推定体重で分娩困難と思われる場合
- ・骨盤が小さい場合(児頭骨盤不均衡)
- ・足や股の病気、ケガで分娩時の体勢が困難な場合
- ・前置胎盤(胎盤が子宮の入り口を塞いでしまう状態)の場合
⇨ 出血が多くなることが予想される場合は、事前に高次医療機関へ紹介 - ・貴重児(高齢、習慣流産、ご本人の強い希望など)
また、分娩進行中に、経腟分娩が困難と医師が判断した場合、緊急帝王切開となります。適応となるのは、回旋異常、胎児仮死、分娩停止などです。
回旋とは・・・
骨の形に合わせて、赤ちゃんは向きを変えながら生まれてきます。何らかの理由でこの回旋がうまくいかないと、赤ちゃんの頭がなかなか降りてこなかったり、お産が長引いてしまいます。
帝王切開による合併症や副作用として以下のことが考えられます。
- ・麻酔の合併症
- ・経腟分娩にくらべて出血量が多くなり輸血が必要となる場合があります
- ・術中合併症として癒着、肺血栓塞栓症、肺水腫、再出血、感染、縫合不全、腸閉塞(イレウス)など